高木家の惨劇
- 作者: 角田喜久雄
- 出版社/メーカー: 春陽堂書店
- 発売日: 1955
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満足度:★★★☆☆ 「小道具(=煙草)の扱いが心憎い」
「高木家の惨劇」は高木家の当主を殺した犯人を、警視庁の加賀美(捜査一課長)が関係者のアリバイをもとに追求していく話だ。高木家の当主、孝平が拳銃で殺された。関係者はいずれも殺人の動機があった。しかしいずれも事件発生当時のアリバイをもっていた。
本書で注目したのは、警視庁の加賀美が主人公となっていることだ。戦前の捜査は自白を中心にしていた。そこでは推理という理知的な行為を差しはさむ余地はない。ひっぱたき(72)で自白を引き出せばよいからだ。それが敗戦による改革で、証拠にもとづく理詰めの捜査が主役となった。それによって警察が探偵小説の舞台となりえたのだ。
高木家の因縁を犯人の動機にからめたら、もっとよかったと思う。