季刊・島田荘司―Magazine from Los Angeles, Vol.01(2000Spring)

満足度:☆☆★★★ 「島田信者のための雑誌」

 私は「作品」のファンだ。島田本人のファンではない。島田作品の魅力は永遠の未完成にある。「龍臥亭事件」なんて、話が脱線し、戦前の津山事件に話がすり替わっているし。この傾向はアトポスでも見られた。でも龍臥亭はもっとひどい。
 それにしても島田本人は思いこみが相当つよい、やっかいな人物だ。私はそう考えている。本書を読むとそれがよくわかる。
 今回も「日本学のすすめ」という大論文を寄稿している。これは評論という体裁をとっている。しかし、年代や文献への言及はわずかで、ほとんどが島田の思いこみで占められている。これは島田日本史とでもいうべき、オハナシなのだ。
 圧巻だったのは「二〇〇〇年型島田荘司」を宣言した後書きだ。「島田荘司は、二〇〇〇年型が今年デビューする」(後書き)。島田作品のファンとしては暗澹たる思いだ。
 
御手洗シリーズ 連載第1回 読み切り「山手の幽霊」(未読)
御手洗潔の風景(写真と文)
一枚の写真から(第1回)昭和二十九年「プレジデント・ウィルソン号の応接室で」
L.A.日記, no. 1
L.A.のユニークレストラン紹介, no. 1
組曲「龍臥亭事件」(1)
本格評論「日本学の勧め」(第1回)
秋好事件の現在
新小説「金獅子」の世界への招待
地球紀行追想フォトエッセイ 思い出入れの小箱たち(1)「オスロの木箱」
「創刊号」後書き