姿としぐさの中世史

姿としぐさの中世史―絵図と絵巻の風景から (イメージ・リーディング叢書)

姿としぐさの中世史―絵図と絵巻の風景から (イメージ・リーディング叢書)

「施肥とトイレ」(本文130-136)より
 『慕帰絵』から中世のトイレ(東司)の場面と人糞尿のなにがわかるか。
 トイレ、そして人糞尿の話はいささか汚い話だ。しかしこれくらい人間にとって日常的で重大な話もないはずだ(本文130)。
 中世では素朴な共同便所が出現していたのではないか(本文133)。『餓鬼草紙』第三段をみると、中世では外套で糞便をしている。尻をふくのに紙、捨木(糞ベラ)を使っている。高下駄を使っている。街頭の一角を共同便所に使っている(本文132)。
 中世都市では共同便所的な場所はいったいどのように発達したか(本文133)。人糞尿の発達がいつごろ本格化したのか(本文133)。
 他の絵巻物で便所の発達史を語る、よい場面がないか(本文134)。
 運搬に不可欠な容器の出現があいまって、人糞尿施肥の急速な発展の条件がととのったのではないか(本文135)。
 都市の発展が、便所と桶の発達とともに人糞尿施肥発達の不可欠な条件だったのでないか(本文135)。
 最初の人糞尿施肥の絵画資料はなにか。今のところ、町田本「洛中洛外図屏風」の一場面だ(本文135)。