「挫折しない整理」の極意

「挫折しない整理」の極意 (新潮新書)

「挫折しない整理」の極意 (新潮新書)

※うさんくさい本である。まず本書には「あなた」がくどいほど登場する。しかし「私」はめったに登場しない(おそらく9対1よりもひどい)。まるで「生き方本」である。この点だけとっても、うさんくさい。こうした「二人称」の文体を読んでいると、しらないうちに壺でも買わされそうである。
※本書は「整理本」の整理を標榜しているわりには、第三者的な姿勢に欠けている。これでは「『整理本』の整理」という看板をつけただけの、「整理本」の一つにすぎない。しかも各書のいいとこどりをしているので、誤解をまねきかねない(自著のオリジナリティは、先行文献と峻別しないと「剽窃」と非難されることもある)。
※本書をよんで「よかった」と思えるには年をとりすぎてしまった。困ったものだ。これでは私の中の仮説「広告マン悪人説」がますます強固なものになってしまうではないか。
※なぜ「整理本」にカウンセリング的な胡散臭さが付着するのか。あらたな研究課題としたい。今のところ、どうやら整理しないことが罪という先入観があるようだ。整理を「配置(arrangement)」ではなく「秩序(order)」の話と考えるあたり。

105円