白波五人帖・いだてん百里―山田風太郎妖異小説コレクション

※満足度:☆☆☆★★
白波五人帖(第一帖 日本左右衛門/第二帖 弁天小僧/第三帖 南郷力丸/第四帖 赤星十三郎/第五帖 忠信利平)/いだてん百里
※『白波五人帖』は歌舞伎のほうを知らないので、比較できない。話の冒頭で盗賊団の首領が出頭。この設定が話を規定してしまっており、以降の話が盛り上がらないのが難。
※「いだてん百里」は既読。初刊本(『山刃(うめがい)夜叉』)に則して山の民・撫衆(なでし)の言い回しを、また小見出しを復活させるなど細かい配慮がみられる(また元本にあった、最終話「お江戸山脈」のハンセン氏病にかんする記述も削除されている。)。結果、本書は中身が『山刃夜叉』、題名が『いだてん百里』を採用するという変則な構成をとる。ならば『山刃夜叉』とし刊行するのが自然ではなかろうか。本書の「いだてん」は編者・日下三蔵版という印象は否めず、決定版になってない。
※「いだてん」にはコムプラチコス(イスパニア語で「子買い」の意)という単語が登場する。17世紀ごろ、ヨーロッパで「コムプラチコス」という小児売買団が横行し、子どもを買い、さらい、見せ物にするために化物にしあげたという(606ページ)。要調査。