ヤマトフの逃亡―山田風太郎傑作大全(19)

ヤマトフの逃亡―山田風太郎傑作大全〈19〉 (広済堂文庫)

ヤマトフの逃亡―山田風太郎傑作大全〈19〉 (広済堂文庫)

※満足度:☆☆☆☆☆
からすがね検校大谷刑部は幕末に死ぬ笊ノ目万兵衛門外(もんがい)へ伝馬町から今晩はヤマトフの逃亡新撰組の道化師
※「笊ノ目万兵衛、(桜田)門外へ」は佳作。すべての捧げた先にあるものとは。「伝馬町から今晩は」は「切り離し」で出獄した高野長英の話。人を食ったタイトルだが、「招かざる客」の訪問をうけた関係者はバタバタと倒れていく。ある意味、ホラー。「クメッセン・ヤマトフ」ときいて、ジョージマ・ッケンジー城島健司)を思い出した。
※本書には『幕末妖人伝』(1974)からの作品が収録されている。
第一話「男谷検校」⇒「からすがね検校」(本書)
第二話「日本人ヤマトフ」⇒「ヤマトフの逃亡」(同上)
第三話「河上彦斎」⇒「おれは不知火」(『地の果ての獄(下)』)
第四話「江藤新平」⇒「首の座」(同上)
第五話「鳥居耀蔵」⇒「東京南町奉行」(同上)
時代小説と明治小説をつなぐ重要な作品集なのだが、バラバラにされて収録されるという不遇な扱いをうけている。