夜長姫と耳男

 脳出血で急死する1950年までの3年間に発表した、小説10編を集めた短編集(角川文庫)。
 「夜長姫と耳男」「犯人」「都会の中の孤島」「牛」「発掘した美女」「保久呂天皇」がよかった。
 晩年の坂口は、大量の注文をさばくため、技巧や装飾を省いた、平易な文章を書いている。そのため、初期・中期の特徴である文章の重さがなく、手軽に読むことができる。
 
〈目次〉
夜長姫と耳男(『桜の森の満開の下講談社文芸文庫
犯人
都会の中の孤島

中庸
幽霊それから
発掘した美女
握った手
文化祭
保久路天皇
お奈良さま

105円(角川文庫、初版。2013-2-15読了)