横溝正史読本

横溝正史読本 (角川文庫)

横溝正史読本 (角川文庫)

横溝正史読本 (角川文庫)

横溝正史読本 (角川文庫)

満足度:★★★★☆ 「金田一耕助は『菊田一耕介』だった」
 
 横溝のざっくばらんな話が、じゅうぶん楽しめる。驚いたのは、初期の作品が独創性をさほど問題にしていなかったことだ。横溝はじぶんの処女作が外国映画の翻案であることを、あっけらかんと語っている(しかも神戸時代から原書に親しんでいたとは、驚きだ)。
 対談相手の小林は「ございます」調で対談をおこなっている。横溝の語り口とあまりに対照的だ(ふだんからこんな口調で話すんだろうか)。
 新版(2008年)には年譜の追加(16年分)があったほか、表現の一部に訂正がある。訂正箇所は私が読んだかぎり、旧版の60ページにあった。問題は筆者の発言に修正を加えていることだ。「ママ」と表記すべきではなかったか。
 新版も手にとってみたが、装丁や雰囲気は旧版がまさる。とくに赤本の出来はすばらしい。

210円(ヌレあり、旧版の再版、黒背、2010/10/3読了)