切断

切断 (ハヤカワ・ミステリ文庫 32-1)

切断 (ハヤカワ・ミステリ文庫 32-1)

満足度:★★★☆☆ 「ドーヴァー=木彫りの鴨」
 
 ドーヴァーの行動はハチャメチャな印象を受ける。しかし本書を注意深く読むと、彼の周囲に事件の関係者が集まり、それが事件の集結に向かっていくことがわかる。都筑道夫が『ミステリィ指南』でのべているように、ドーヴァーは鴨猟で使う木彫りの鴨のように、さまざまな事件関係者を集めるための、「まき餌」の役をつとめているのだ。したがってドーヴァーがどんなにデタラメな人物であろうと、推理小説の文法にのっとっていえば、優秀な探偵なのだ。

4/1読了