レッド・ツェッペリン ライヴ・ファイル

レッド・ツェッペリン ライヴ・ファイル

レッド・ツェッペリン ライヴ・ファイル

満足度:☆☆☆★★ 「方法論に致命的な欠陥がある」
 この筆者は自分が解説を書くのにもちいた音源が何であるかを明らかにしていない。このことが本書の値打ちを著しく下げている。本書は非公式音源(ブートレッグ)にもとづき、このバンドがおこなった全公演の概要を伝えている。そして各公演の音質状態(ハイファイ感、距離感など)を段階に評価している。しかし筆者は自分が参照した音源が何であったかを明示していない。もっとも音質のよい音源にもとづいたとしているだけだ。それでは筆者の評価を検証できないではないか。音源を明らかにしてこそ、読者は筆者の言葉を確かめることができる。そして同一公演においてどの非公式音源がよいのかを、知ることができる。筆者が音源に言及しなかったのは、本書にとって致命的だ。参照した音源を明示しないまま、音質を評価することに何の意味があるのか。これではたんなる自分メモである。私見を世に問うなら、他人からの評価に耐えられるものにすべきだった。がっかりである。
 驚くべきことに、筆者はバンドの演奏状態の良し悪しをすべて薬物の影響にしている。本書は筆者の思いこみで書いている部分が目立つ。なかでも演奏の状態をすべて薬物のせいにしていたのには、驚いた。演奏がすごくても薬物のおかげ、メロメロでも薬物の影響。これではメンバーが気の毒だ。すべてを薬物のせいする筆者こそ、薬物で酩酊しているのではないか。