能面殺人事件

能面殺人事件 (春陽文庫)

能面殺人事件 (春陽文庫)

満足度:☆☆☆★★ 「事件の記述者が探偵であり、同時に××という奇抜な構成」
(あらすじ)当主泰二郎をはじめ千鶴井家の関係者が続けざまに殺されていく。その様子を犯人が明らかになるまでの、千鶴井家に寄宿していた柳光一の手記で描く(1949年)。

本書の面白さは、「記述者が探偵であり、同時に××であった、という例は世界の探偵小説史上に先例のない構成」をとっているところにある(303頁)。そのことで本書のネタがすぐに割れてしまうので、その評価はむつかしい。くわえて本書における密室殺人のトリックは視覚に訴えるものなので、文字で表現するのには限界がある。そのためあざやかというより、ああそうですかという気持ちで読みすすめた。