占い師はお昼寝中

占い師はお昼寝中 (創元推理文庫)

占い師はお昼寝中 (創元推理文庫)

満足度:☆☆★★★ 「物部太郎の粗悪なコピー」
 働きたくない。事務所を構えている。怪異現象をあつかう。都筑道夫が創作した探偵、物部太郎との共通点が多くある。
 本書が致命的なのは、怪奇現象を否定する当の本人が、占い師を開業していることだ。「怪奇現象なんてのはこの世にないんだよ」と主人公は語る(131頁)。このように主人公はオカルトを否定している。そのような態度で占い師の看板をかかげるのは、自己矛盾ではないのか。
 いかに推理が直観にもとづくとはいえ、理性と正反対の職業を探偵にするのは失敗だったといえよう(147頁)。