細い赤い糸

細い赤い糸 日本推理作家協会賞受賞作全集 (15)

細い赤い糸 日本推理作家協会賞受賞作全集 (15)

満足度:★★★★☆ 「わかりやすさが上手さを生んでいる」
 
 連作長編。物語は被害者の視点で進行していく。殺人がおこると場面が切り替わり、つぎの被害者の視点で進んでいく。その分だけ、事件の全体像が読者に伝わっていく。とてもよくできた構成で、感心した。
 最初の事件だけがわかりにくかったが、読み直すとヒントを潜ませていることがわかる。
 一方、結末はもう一工夫できたのではないかと感じた。
 
 久野刑事の「人が多すぎるんだ。お互いに重なり合って生きてる。どんなことが起こるか分かりゃしない」という言葉に、筆者のやり切れなさが伺える(261頁)。

105円(2011/2/11-12読了)