The Book: Jojo’s Bizarre Adventure 4th Another Day

The Book 〜jojo's bizarre adventure 4th another day〜

The Book 〜jojo's bizarre adventure 4th another day〜

満足度:☆☆★★★ 「乙一という『レンズ』を通すと、荒木飛呂彦がいかに偉大かよくわかる」
 一年間に出版される本は七万冊だそうだ。だからこんな本ができてしまうのだろう。大量生産すると不良品がでるのだから、作品に不良品があってもおかしくない。本好き受難の時代だ。せめて装丁に負けない内容であってほしい。
 作者は「あとがき」で作品への思い入れを書いている。それが本書とは、首をひねる。
 
【一口メモ】
 一見して、ひらがなが多い。人物の成熟度にあわせているのか。いや、そうではないようだ。見たものすべてを記憶できる琢也のセリフもおなじだ。どうやら、作者はなにも考えていないようだ。
 荒木の物語世界を流用しているのがマイナスだ。実際に起こったと思わせるような既視感はなく、信じられないと知りつつも読む話になっている[佐藤: 77]。
 意味のない空白が気になる。本文139頁、159頁の空白はなんなのか。
 特殊な括弧の使用が読書欲を削ぐ。「【】」のことだ。なにか意味があってのことか。そう考えて読みすすめてみたが、作者の気まぐれ以上のものではないようだ。そうなると作家としての「稚拙」な印象ばかり強くなる。
 琢馬の視点をとったことは失敗でないのか。
 「ザ・ブック」は「エコーズ」と「ヘブンズ・ドア」の合成なのか。私なら「スターレス・アンド・バイブル・ブラック」とするところだ。
 
【目次 疑問点その他】
第一章 なぜ猫は血まみれなのか(本文15, 27頁)。これまでに食べたパンの数をおぼえている人間がこの世にいるだろうか(本文53)。織笠花恵はいかに死んだのか(本文73頁)。
第二章 蓮見琢也のスタンドはどんな力をもっているのか(本文128頁)。小説はなにを行うか(本文137頁)。過去の追体験とはなにか(本文164頁)。
第三章 心に言葉を書きこまれることは、体を傷つけられるのとおなじことか(本文188頁)。(山岸由花子に)さからうと命の保証がないことは、コミックスを読むとわかっていただけることだろう(本文204)。リーゼントヘアの少年について、漫画の連載当時、ファンのあいだでさまざまな憶測がかわされた(本文211)。見える見えないにかかわらず、本の文字を判読することができるのか(本文239頁)。魂が読むんじゃなかったのか(本文240頁)。スタンドは都合よく遺伝するのか(本文245頁)。照彦のスタンドはどうなったのか(本文245頁)。「私が望めばその少年は二度ときみにちかづけない。私には、そうする力がある。・・・中略・・・【黒い琥珀の記憶】、それがこの能力の名称だ」(本文255)
第四章 文字が読めないとまずいんじゃないのか(本文268頁)。「ザ・ブック」の元ネタになった洋楽はなにか(本文278、193頁)。「ザ・ブック」は心で思うだけで、ページにたどり着けるのか(本文291頁)。億泰は字が読めないんじゃないのか(本文300頁)。スペイン風の現在名はインフルエンザなのか(本文301)。生まれたのは女の子じゃなかったのか(本文349頁)。
終章 殺人事件の最重要容疑者がなぜみつからないのか(本文365, 366頁)。
あとがき 本書が二千枚書いた果実なのか(本文379頁)。作者は小説というものを深く考えたことがないのか。