リベルタスの寓話
- 作者: 島田荘司
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/10/06
- メディア: 単行本
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満足度:☆☆☆★★ 「進行中」
「リベルタスの寓話」の視点構成(初出・小説現代2007年9月増刊号『メフィスト』)
プロローグ(三人称主観「ハインリッヒ」)ボスニア・ヘルツェゴビナ共和国のモスタルで殺人事件が発生したとの連絡をうけるプロローグa(三人称客観「書き手」)現クロアチア共和国、かつての自治都市国家ドゥブロブニクでブリキ人間「リベルタス」を使った総督選出の手続きを紹介する。ただしブリキ人間をふくめた選出方法はヴェネチアのやり方を誇張した筆者による想像の産物である。プロローグb〜d(三人称主観「ドゥブロブニクの女、レナータ」)頬にアザがあったが、神父のすすめでリベルタスを磨いたところ、あざが消える。オスマン帝国の襲来したとき、神父はレナータの息子、イワンの死体から心臓をとりだし、リベルタスの内部に移す。するとイワンはリベルタスとなって蘇る。1.三人称客観「書き手」2006年4月6日、シャホヴニツァ大学沿いの広場で、人体の一部が入ったガラス瓶が見つかる。被害者はセルビア人3人(クラバッシほか)とトルコ人のバキル2.三人称主観「ディンコ」サラエボで日本女性ヒロコと出会う(サラエボのバシチャルシャ広場、ディスコ「イェラチッチ」、ベッド、バシチャルシャ広場、クロアチア平和機構)3.三人称客観「書き手」
4.三人称主観「ぼく」東京5.三人称主観「ハインリッヒ」サラエボ6.三人称主観「ぼく」バキルと冒険に出る7.三人称主観「ぼく」東京8.三人称主観「ハインリッヒ」モスタル9.三人称主観「ぼく」東京10.三人称主観「ハインリッヒ」現場11.三人称主観「ぼく」モスタル?/仮想世界?12.三人称主観「ハインリッヒ」シェフターリ13.三人称主観「ぼく」東京14.三人称主観「ハインリッヒ」サラエボエピローグ(三人称主観「ハインリッヒ」)
(ネタバレあり)「クロアチア人の手」の視点構成(初出・小説現代2007年5月増刊号『メフィスト』)
1.三人称主観「私(ドラガン)」(導入句)白いミルクの水たまり 血が混じり合って風車 闇に駆け回る悲鳴2.三人称客観「書き手」
ドラガン・ボジョビッチはセルビア系クロアチア人である。彼が夢から醒めると、イヴァン・イヴァンチャンの右手が床を貼っていた。
(挿入句)月光ほろほろ 風鈴にたわむれ二人のクロアチア人が東京・深川の芭蕉記念会館に滞在していた。2月8日早朝、ドラガン・ボショビッチの部屋でイヴァン・イヴァンチャンが密室状態で死亡しており、行方不明だったドラガンも車にはねられ爆死する。3.三人称主観「私(石岡)」私は警視庁捜査一課の寄居から電話をもらう。不可解な事件の捜査協力を依頼される。4.三人称主観「私(石岡)」私は東京駅で寄居と落ち合い、事件の経緯を聞く。5.三人称主観「私(石岡)」私と寄居は芭蕉記念会館で現場を検証する。6.三人称主観「私(石岡)」私と寄居は芭蕉記念会館で関係者から話を聞く。7.三人称主観「私(石岡)」(俳句)霙の樹 クロアチア人の手が見おろす 廃墟のない街8.三人称主観「私(石岡)」
私は自宅で、スウェーデンの御手洗と電話で話す。私は警視庁に出向き、御手洗との件を寄居に報告する。寄居とともに深川の現場でもどる。御手洗に国際電話をかける。9.三人称主観「私(ドラガン)」私はイヴァンの「右手」が私を殺そうとしているのを知る。10.三人称主観「私(ドラガン)」私は名案を思いつく。