びっくり博覧会

びっくり博覧会 (集英社文庫 89-G)

びっくり博覧会 (集英社文庫 89-G)

満足度:☆☆☆★★ 「証拠写真が58枚?」
短編集。数が多いので、とくに印象深い作品を以下にあげる。
 
「本格推理小説」キリオン・スレイもの。
不眠症」現実は錯覚の向こう側にある。こわい。
「蝋人形」もう一ひねり加えたのがうまい。
「手がかり」ダイイングメッセージの謎解き。
「夢見術」私好みの構成。
「薄雲の満月」娘の父親は狼男だったのだろうか。
「対談」天ぷらそばが食べたくなった。
「穴」穴を掘るという、単純な作業が怖い。掘った穴がすべてを呑みこんでしまいそうで。
「初詣」妻に会いにいく。「マンホール」(梅雨)まで、その月の季節をテーマにして書いている。
「闇ぶくろ」子どもが自分だけのお化けを創作するのはよくある話だ。もしそれが大人になってもつづいていたとしたら、怪談として成立する。
「怪談作法」夢見術と同様、私好みの構成。
「午前二時の骨牌」形式好きな筆者ならではの作品。
 
解説の阿刀田高は作者の短編には、「かすかに釈然としないところがある」「怪談に対する強い傾斜」をあげている。「初めてのかたは現代的な怪談を一つ書いてみるといい」と、対談したとき、作者はしきりに述べたとある。

105円