悪魔の設計図

満足度:☆☆☆★★ 「由利・三津木シリーズ」
 作者が創作した、由利麟太郎(元刑事)と三津木俊介記者(新日報社)のコンビは戦前、活躍していた。本書は、由利・三津木シリーズの第一作(石膏美人)と、若き日の由利(獣人)、由利・三津木シリーズの一作(悪魔の設計図)を収録している。
 
 遺産相続候補の娘三人の命が、当初遺産をうけとるはずだった青年に狙われた(「悪魔の設計図」)
 藤巻博士の子息の死体が女装姿で自宅に配達された。どうやら友人の一柳博士が怪しい。三津木が遭遇した不思議な出来事とどう結びつくのか。由利麟太郎が登場する記念碑的中編(「石膏美人」)
 都内で女性のバラバラ死体が見つかった。鋼鉄の針のついた甲冑(!)をきた獣人の仕業なのか。獣人の正体は?(「獣人」)
 
 中短編なので、読み応えという点では浅かった。トリックもうすうす検討がつく。
 しかし「設計図」「石膏美人」をよむと、人間の感情はままならないことを痛感する。これは今もおなじだ。探偵小説は昔から人間の暗部を主題にしてきたのだ。
※初版

105円