魔婦の足跡

魔婦の足跡―昭和ミステリ秘宝 (扶桑社文庫)

魔婦の足跡―昭和ミステリ秘宝 (扶桑社文庫)

満足度:☆☆☆★★ 「軽量級の作品集」
 全体をとおして、探偵小説の色彩がうすい。作品の選択に疑問をかんじる。教養文庫のほうがずっとよい。解説の日下三蔵には荷が重いのか。「傑作」なんて陳腐な形容は勘弁していただきたい。データ屋に徹したほうがよいのではないのか。
 
「魔婦の足跡」
 謎の娘が童話作家の相良直樹、女剥製師の庄司カオル、貿易商人ゲッコ・カシモフの三人をゆする。三人は娘を殺して、南の小島チャンナへ逃れる。しかし島にも娘の影が・・・娘の正体は何なのか。
 謎の娘が話の前半までひっぱっている。後半に謎がどうあきらかになるのか、不安がのこる。(読後)前半、後半に分ける必要はなかった。後半の島の話が作者の持ち味を一番だせる舞台だろう。娘の正体にも失望した。
 
「ペット・ショップ・R」
 ペット・ショップの女主人宇奈木晴美は自らの欲望を満たすため、矢島京子を店にスカウトする。晴美はレスボス(レズビアン)だったのだ。ふたりの関係は周辺の男を巻き込みながら、物語が展開する。

105円