古墳殺人事件

古墳殺人事件 (徳間文庫)

古墳殺人事件 (徳間文庫)

満足度:☆☆☆☆★ 「日帰り殺人事件」
 主人公たちは正午前に現場に到着し、午後九時に事件を解決している。そしてその日に帰京しているのだ。

 (あらすじ)考古学者曾根辞郎が、東京郊外にある実家、敷地内の古墳内で死体で見つかった。少年タイムス編集長・津田皓三は、「私」こと原喬二検事の自宅で訃報をうけとる。そして自宅には被害者からの謎めいた告発状が届いていた。津田、原検事、後輩の千葉警部の三人は現場へむかう。はたして学友の死の真相はなんだったのか。

 事件の背景は中盤にうすうすわかる。どうやって結末にもっていくのか、という関心で読み進めた。物理トリックをふくめ、ぜんたいとしてうまく着地できたのではないか。探偵役をつとめた津田はなかなか真相をのべない。今回はそれが気にならなかった。津田が三男四女をかかえているという設定だったので、許せてしまったのである。探偵は読者の同情をひくにかぎる。

105円