セント・ニコラスの、ダイヤモンドの靴

満足度:☆☆☆★★ 「うすっぺらな物語に失望」
 筆者はよほど振幅のせまい感情生活しか送っていないのだろうか。人物が描けていない。善人はいかにも善人っぽく、悪人はいかにも悪人に描いている。物語も勧善懲悪だ。舞台は昭和だが、物語は昭和以前のレベルに退化している。
 私にとってこの作家の旬は終わったのか。「アトポス」までは読める作家だった。キャラクター小説に傾倒してから、感心しない作品ばかりだ。筆者がこんな話しか書けないのなら、読書の意味はない。ちょっと深刻だ。