ハリウッド・サーティフィケイト

ハリウッド・サーティフィケイト (角川文庫)

ハリウッド・サーティフィケイト (角川文庫)

満足度:☆☆☆★★ 「ハリウッドB級ホラーの域を出ない」
 松崎レオナが親友だった女優の惨殺事件の犯人を追うという内容。とにかく長いわりに、単純な話だった。読みはじめた瞬間に犯人がわかった人がいてもおかしくない。むしろなぜ800ページ強の長さになったのかを分析する必要がある。
 物語の舞台が西海岸ということで、筆者の米国暮らしが色濃く出ている。『季刊島田荘司』での記述と重なる部分がいくつかある。あわせて読むとよい。
 本書は猟奇的な色彩に彩られている。殺人、人体実験などグロテスクな場面の描写がおおい。もっとも、初老の筆者(2001年当時、53歳)が性描写に呻吟する様を思い浮かべたときが、一番おぞましかったと付言しておく。
 題名の「ハリウッド・サーティフィケイト」がなにを指すのかいまひとつ判然としなかった。ドラッグなのか、それともピストルなのか(おそらく後者)。130ページに登場している。本筋とは関係ないことだけはわかった。
 何度もいうが、デーブ・スペクターがいっているように、日本語で書いていて、英語の単語だけアメリカ人みたいに書くのは嫌みだ。そうでなくても、表記が長くなり、読みにくいだけだった。カタカナで表記すれば外国の雰囲気がでる、という発想はいただけない。
※2003年10月25日初版発行。角川書店から出た単行本(二〇〇一年八月)の文庫化。