高田純次★祭り

高田純次 祭り

高田純次 祭り

満足度:☆★★★★ 「『高田純次』が表題で『祭り』は副題」
 高田純次ファンには本書を薦めない。本書は山中伊知郎高田純次について「祭り」をキーワードに書いた本だ。生い立ちから東京乾電池を経てテレビに活動を移すまでを追っている(だいたい80年代末まで)。
 本書をすすめない理由は2つある。
 まず本書は高田の劇団時代の話が中心であることだ。したがって現在の高田の面白さを追い求めたい人には向いていない。
 つぎに、筆者・山中伊知郎の与太話につき合わなければならないことだ。著者は自分の想像で高田純次について余白を埋めている。本書の大部分がそうなのだ。はっきりいって山中の解釈を長々と読まされるのは苦痛だった。読者は高田本人の言動にふれたいのである。
 本書は「高田純次」が表題で、「祭り」が副題だ。「高田純次祭り」ではない。本書の「祭り」とは高田の劇団時代のことだ。すなわち青春期=祭りという見立てである(p. 26)。この見立ても首を傾げてしまう。必然性のない本だった。