どくろ杯
- 作者: 金子光晴
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1976/05
- メディア: 文庫
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満足度:★★☆☆☆ 「金子の人生に学べるものはあるのか」
本書は当時七十代だった筆者が、四十年近く前の自分をふりかえって描いた本だ。多少なりとも批判的、反省的に描いた部分が目立つ。
題名のどくろ杯とは人間の頭蓋骨を割ってつくった酒用の器だ。上海で知り合った秋田義一が蒙古で手に入れたもので、だれが買い手がいないだろうかと金子に見せたとある。(152頁)。
本書は優柔不断で生きる力を欠いた若者の、行き当たりばったりの姿を描いている。なので本書は役に立っても、反面教師といった消極的なものでしかない。