どくろ杯

どくろ杯 (中公文庫 A 81)

どくろ杯 (中公文庫 A 81)

満足度:★★☆☆☆ 「金子の人生に学べるものはあるのか」

 本書は当時七十代だった筆者が、四十年近く前の自分をふりかえって描いた本だ。多少なりとも批判的、反省的に描いた部分が目立つ。
 題名のどくろ杯とは人間の頭蓋骨を割ってつくった酒用の器だ。上海で知り合った秋田義一が蒙古で手に入れたもので、だれが買い手がいないだろうかと金子に見せたとある。(152頁)。
 本書は優柔不断で生きる力を欠いた若者の、行き当たりばったりの姿を描いている。なので本書は役に立っても、反面教師といった消極的なものでしかない。

105円(2010/8/9開始、2010/8/14読了)