学術小説 外骨という人がいた!

外骨という人がいた! (ちくま文庫)

外骨という人がいた! (ちくま文庫)

満足度:☆★★★★ 「筆者の過剰な露出に辟易」
 宮武外骨について知ろうとする人にはお勧めしない。別の文献にあたったほうがよい。
 本書は、宮武外骨についての筆者のおしゃべりで埋められている。赤瀬川本人が主で、外骨は従なのだ。私は外骨に興味があった。だから赤瀬川のおしゃべりに付き合わされて、うんざりした。
 しかし筆者のはしゃぎっぷりはつまらないを通りこして、痛々しい。
 文章から推察するに、筆者の能力不足はあきらかだ。筆者はひたすら外骨をおもしろがっている。しかしこのやり方は、外骨の核心に迫ることができないことによる、窮余の策なのだ。これは、料理人が素材をうまく調理できないので、おしゃべりで客をごまかすようなものだ。
 筆者は最後まで外骨の周りをうろちょろしている。筆者がはしゃげばはしゃぐほど、憐れみを感じてしまった。
※図版がおおいので購入。外骨の洒脱にくらべると、筆者のはしゃぎっぷりがなんとも。こういう文章がもてはやされた時代があったとすれば、悲しいことだ。

105円