想像の共同体―ナショナリズムの起源と流行

(2/5追記)アンダーソンの独創性はナショナリズムがたやすく複製できることを指摘した点だ(『国民国家ナショナリズム』より)。彼はモデュール(=組み立てユニット)という言葉を使い、東南アジアのナショナリズムにおいて、あたかもプレハブを建てるかのように、つぎからつぎへと国民国家が作り出された様子を描いている。それにしても本書はつかみどころがない。文章が悪いのか、翻訳の問題なのか、それともナショナリズムという対象じたいに由来するのか。私のように物わかりの悪い人間は、フランス史をよんだほうがましだと痛感させる一冊。本書を読む余裕なら、谷川稔『国民国家ナショナリズム』を私は薦める。こちらはブックレットだが良心的な冊子だ。

105円