伝馬町から今晩は―山田風太郎コレクション 幕末編

※からすがね検校(幕末妖人伝・第一話「男谷検校」)芍薬屋夫人/獣人の獄/ヤマトフの逃亡(幕末妖人伝・第二話「日本人ヤマトフ」)/伝馬町から今晩は/解説・縄田一男(太字は未読)
※コレクション編集/縄田一男・細谷正充。「風太郎通史」の、幕末維新から明治にいたる流れをまとめた作品集。けっきょくのところ「幕末妖人伝」の拡充にすぎない。いただけないのは「妖人伝」の末尾の一文を断りなく削っていることだ。
筆者の作品は南北朝、室町、戦国、江戸、幕末、明治、現代史(敗戦直後の風俗に取材したミステリー)におよぶ。それを年代順に並べると風太郎が描く近世・近代史が成立する。編者はこれを「風太郎通史」とよんでいる。

おれは不知火―山田風太郎コレクション 維新編

※首/笊ノ目万兵衛門外へ/大谷刑部は幕末に死ぬ/おれは不知火(幕末妖人伝・第三話「河上彦斎」)/絞首刑第一番/解説・細谷正充(未読はなし)
※細谷は「風太郎通史」の第二弾と書いているが、これは幕末につづく維新編なので正確な表現ではない。文章を生業とするとは思えない粗忽な表現である。文章の末尾に「あろうか」「なかろうか」がひんぱんに登場するのは、悪い冗談なのか。あいかわらず解説に説得力を感じない。「首の輪舞」という表現も首をひねる。

明治忠臣蔵―山田風太郎コレクション 明治編

明治忠臣蔵 (河出文庫―山田風太郎コレクション)

明治忠臣蔵 (河出文庫―山田風太郎コレクション)

※東京南町奉行(幕末妖人伝・第五話「鳥居耀蔵」)/天衣無縫/首の座(幕末妖人伝・第四話「江藤新平」)/斬奸状は馬車に乗って/明治忠臣蔵/明治暗黒星/解説・細谷正充(未読はなし)
※前巻で押さえ気味だった、いつもの細谷節が復活しており、いやな気分になった。評論家を自称するなら、「傑作」などという陳腐な言葉を乱発するのはいいかげんやめて欲しい。「天衣無縫」の主人公がくノ一の原型という話には笑ってしまった。

火の鳥(9)

火の鳥(9) (手塚治虫漫画全集)

火の鳥(9) (手塚治虫漫画全集)

※望郷編その1。角川版には異星人ノルヴァの逸話がない。ノルヴァは雌雄単体の種族。表紙の中央に描かれている。

105円